投稿日:2016/05/30

皆さんこんにちは。フラワーデザイナーYURIです。

皆さんは、日々どのような食生活を送られていますか?
また漢方や薬膳に対してどのようなイメージを持たれているでしょうか?
「医食同源」という言葉が意味するように、日ごろからバランスのとれたお食事を摂ることは、病気の予防や治療に役立ちます。
ついついバランスが偏りがちな私たちの食生活ですが、日々の食事に薬膳料理を取り入れてみると、美味しく、美肌、疲労回復、デトックス効果も期待できますよ。

実は、今回お仕事させていただいたのが薬膳レストランです。
漢方や薬膳の知識も豊富な薬剤師がメニューを監修していて、季節ごとに選びぬかれた食材を使った、美味しく体に美容と健康を働きかける薬膳火鍋が人気です。
薬剤師でもある私は、メニューの監修をされている薬剤師のRさんとご縁があり、店内のインテリアアレンジのお手伝いをすることになりました。

東京は新橋、銀座にほど近い場所、2015年にオープンした「kampo’s」。
写真で見ていただければわかるように、緑豊かで自然の雰囲気溢れる素敵な壁面装飾がなされています。
オープン当初は、店内にたくさんの胡蝶蘭が並んでいてさらに華やかだったとか。
「今は胡蝶蘭がなくなり、飾り棚がどうも寂しい」とのこと。
メインスペースの飾り棚5面をお花で飾らせていただくことになりました。

●装飾のイメージの打ち合わせ

まずおおまかなイメージとして決まったのは、天然木など自然のものを使い、華やかやカラフルよりも、“グリーン”や“自然の色”を中心とした雰囲気。
すでに施されているグリーンの装飾との相性も大切です。
そして、「薬膳にも使われる植物をアレンジメントに組み込めたら嬉しい」とご要望をいただきました。

花材の選定に同行してくださったRさんと、一緒に同じものを見たり、何気ない会話をするなかで、Rさんの思う「これは好き」「これはイメージと違う」という感覚が私の中でクリアになっていきました。

●モクレンやハスを使ったアレンジ

揃えた花材を使い、まず作ったのが、飾り棚5カ所の中でも1番中心に位置する棚へのアレンジ。
白樺のベースにモクレンのアレンジメントを作りました。ここにはインテリアとしてずっと飾っておけるアーティフィシャルフラワーを使用しています。

このアレンジメントの中には、ハスが入っていますが、ハスは実、葉、花、茎すべてが薬用植物で、もちろんkampo’sのメニューにも使われています。
モクレン(英名:マグノリア)も、花がハスの花に似ていることから木蓮と呼ばれていますが、木蓮の蕾は辛夷(シンイ)と言い、漢方薬としても使われます。

棚の横幅が110cmと結構ありましたので、このモクレンやハスを使ったアレンジメントは、少し花材や形を変えつつ、2つ作らせていただきました。


●流木アレンジ

私とRさんの共通の希望として、アレンジメントの中に「流木を取り入れよう」というのがありました。
流木はただ置くだけでもインテリアになりますね。
試しに2本の流木を飾り棚に置いてみました。

ところが、棚の背の木材と同化してしまい、流木の存在感が感じられませんでした。「縦に使うことができますか?」というRさんの一言で、木枠に流木を打ち付けて見せることにしました。2本の流木を動きが出るようにデザインしたところに、モクレンと利休草をあしらって完成です。




流木アレンジの横には、テイストの似ている2種のアレンジを置きました。
1つはカップに作ったアレンジメント、もう1つはミニチュアの自転車にミニ花束をアレンジしたもの。
カップに作ったアレンジメントは、こちらも漢方処方「桂皮」として使用されるシナモンを使いました。
ミニチュアの自転車は、「もし使えたら」とレストラン側が提供してくださったものです。

●ウェディングという新たなキーワード

制作の途中、今後このレストランが「ウェディングの会場としても使われていくことになった」と連絡をいただきました。
そこで、これまでのイメージは残しつつも、エレガントで上品な要素も少し取り入れることに。
これまでグリーンを中心に自然な色合いをメインに進めてきましたが、ウェディングらしい白色もテーマカラーに加えることになりました。

3つ目の棚には、「丸いイメージのアレンジメントがほしい」と、ご要望をいただいていたので、吊り下げられるボールブーケを作りました。
丸いかたち、その造形心理は調和や平和を表すため、お客さんの食卓も和やかになるでしょう。
そして、ウェディングのシーンでも和を表すインテリアとして一役買ってくれそうです。
ボールブーケの隣にはキャンドルを置きました。
キャンドルは、結婚式場やウェルカムスペースなどにも飾られることが多いアイテムです。
キャンドルもキャンドルスタンドも、あえて高さを変えたことでセットっぽく見せ、おしゃれな雰囲気を演出できます。
巻き付けた利休草の間にポイントで1つずつつけた茶色い星型の果実は八角です。八角は漢方処方としてはお腹を温める力が強いとされています。

●お店のサイドにあたる2つの飾り棚

レストランのサイドにあたる飾り棚には、白く大ぶりな花の姿が存在感をはなつ、しだれアジサイのアレンジメントを作りました。
完成したアレンジをレストランへお持ちしたところ、「隣の棚には、このアレンジと対になるように、左さがりのアレンジがあったらどうだろう」と、居合わせた社長さんから一言。
賛同したRさんに色合いの希望を聞いてみると、「アジサイのアレンジメントと少しだけ雰囲気を変えてピンク色とかがいいです」とご要望をいただきました。

そこで5つ目の飾り棚には、雰囲気を変えるためにピンクの胡蝶蘭のアレンジメントをご提案しました。
茶色い枝物を入れることで、エレガントになりすぎず、コンセプトである「自然」も意識したアレンジメントに仕上がりました。


こうして5つの棚への装飾を終えて、「要望を何でも言いやすく、素敵なレストランができていくのが楽しかった」と、言っていただけました。
依頼者さまとお店作りをしていく中でも、その作り上げる工程を大切にしている私にとっては、さまざま要望をもらえることも、途中でテーマが1つ増えることも大歓迎。
私こそ楽しくお仕事させていただき感謝しています。


●さいごに

今回は何種類かの薬用植物を使いました。そのうちのハスとモクレンについて、薬膳効果と漢方処方を少しお話しますね。

ハスは、地下茎はレンコンとして食卓に並ぶことでも馴染みがありますが、ハスの種子を蓮肉(れんにく)、あるいは蓮子(れんし)といい、滋養強壮、不眠、婦人病、下痢止めなどに効果があります。
kampo’sでは火鍋のメニューにハスが入っていました。
むくみ対策やダイエットの味方として、ハスの葉を使ったお茶も今後作っていくようです。
蓮子は主要な漢方処方では、例えば「清心蓮子飲」という処方に含まれています。
心の熱を清ます(さます)という意味が込められ、他の生薬成分と合わされてストレスやイライラから起こる尿のトラブルなどに使われます。

モクレンの蕾は辛夷と呼ばれると前述しましたが、辛夷には、鎮痛、消炎作用があり、頭痛、頭重、鼻炎、鼻づまりなどに効果があります。
主要な漢方処方では「辛夷清肺湯」という処方に代表されますが、やはり鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症などに使われます。


いかがでしたでしょうか?
体のために考え抜かれた美味しい薬膳料理、薬用植物のルーツやアレンジメント。素敵なkampo’sというレストランに足を運んでいただき、楽しんでいただけたら私も嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

YURI フラワーデザイナー

ウェディングフラワーや贈り物のアレンジメントのフラワーデザイン、店舗・レストランや個人邸宅内を飾るトータルフラワーコーディネートを行う。 「お客様と話し合う時間を多くとり、イメージの共有を大切にした上で作りあげる」のがYURIのフラワーデザインのコンセプト。
母の影響で幼少期より華道(草月流)を学ぶ。
薬剤師。アロマセラピーアドバイザー。フラワーライフセラピスト。
ErvaNote http://ervanote.com/




この記事へ 2 件のコメント

Onion

2016年5月30日 at 5:36 pm

素敵なお店に素敵な植物ですね。単なる植物でなく、薬用効果もあり、さらに店の料理に含まれている植物ということに驚きました。食事の説明をする方も聞く方も、食事+αの体験により、他の店とは異なる印象を持つことが期待されますね。職場が近いし、食事も鑑賞もしたいので、訪問するのが楽しみです。今後も生薬シリーズを継続していただきたいです。

YURI

2016年6月2日 at 3:56 pm

Onion様

ご丁寧なコメント、どうもありがとうございました。
そうですね。植物を知り、漢方や効能を知ることで、薬膳レストランの美味しいお食事もさらに楽しめるのではないかと思います。
生薬のことは、今後も触れていきたい部分でもありますので、またお付き合いいただけたら幸いです。
YURI

コメントをどうぞ

投稿されたコメントはサイト運営者の承認後に公開されます。
個人情報を含む内容(個人名等)及び個人的な相談等は公開を控えさせて頂きます。

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。
内容を入力して、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。(htmlタグは使用できません)

*