第10回 「狂犬病ワクチン接種」について

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投稿日:2016/07/20

「きれい生活研究所」読者の皆さま、こんにちは。
動物看護士・宮村夏美です。

第10回は「狂犬病ワクチン接種」についてお話ししますね。

狂犬病の脅威

狂犬病は、その感染能力を持った哺乳類動物に噛まれ、感染し発症してしまうと約10日間で100%死に到る、大変恐ろしい人畜共通感染症です。

ヒトの死亡件数は、報告だけでも全世界で年間に約5万5千人死亡しています。

2016年現在、我が国が認めている 狂犬病の清浄国は、
 ・アイスランド
 ・オーストラリア
 ・ニュージーランド
 ・フィジー諸島
 ・ハワイ諸島
 ・グアム

日本を含めるたった7か国のみでは、2016年現在は狂犬病が全く流行していないようです。
この7ヵ国以外、特に狂犬病が多く分布している国では不用意に動物と触れ合わないことを厚生労働省でも推薦しています。

近年では、フィリピンへ渡航して狂犬病にかかり、日本国内で死亡された方がいます。フィリピン在住中、放し飼いにされていた近所の飼い犬に噛まれていたことがあり、その犬も数日後に亡くなっていたことがその後の調査で判明したそうです。

狂犬病が発生している症状は約20項目あり、全てに当てはまらなくてもすでに狂犬病ウイルスにおかされていることもあります。そのため獣医師は、細心の注意と判断力を必要とされているのです。

狂犬病の特徴の一つに、
「なんの前触れもなく噛みついてくる」
場面があるそうです。

もし、こういう場面に遭遇したら、直ちにその場を立ち退いてください。

動物たちは通常ならば「噛みつく」前になんらかの信号を出しています。
例えば「う”~」「シャー!」等と唸ったり、追い詰められて表情が恐怖心でパニック状態になってしまったり…などのアクションがあるはずです。
しかし、狂犬病におかされてしまった動物は無表情で、静かに近付いてきて目の前にあるものに手当たり次第噛みつきます。

あるヒトは、狂犬病を発症してしまった動物にいつの間にか噛まれ、まさか狂犬病ウイルスにかかっているとは思わず、症状が出るまで狂犬病の治療を受けずにいたため、残念ながら成す術もなく亡くなられてしまいました。

狂犬病が日本に拡散されてしまったらどんなことが起こるのでしょうか?

現在、狂犬病ウイルスが存在しない日本国内へ狂犬病ウイルスを保持した動物が侵入しないように、国際空港での輸出入・渡航者の持ち物チェック・動物の移動には念入りな審査があり、侵入を未然に防いでいます。

ですから、ペットとして飼いたくても日本国内へ持ち込めない動物も少なくありません。

かなり厳重に狂犬病ウイルスから守られている日本という島国ですが、近隣国のコンテナに侵入してしまった野性動物が、日本国内へ生きたまま捕獲もできずに上陸していることは、年に数例起きてしまっているそうです。
そして、残念ながら密輸・不法侵入が起きないとも言えません。

もしかしたら、そういう動物たちが狂犬病ウイルスを保持していて、いつのまにか狂犬病ウイルスが日本で流行してしまう危険もあります。

もし、日本で狂犬病ウイルスが再流行してしまうと?

歴史をたどると、近代では第二次世界大戦後の混乱期に狂犬病は、人への被害もありますが、野犬のみならずに家畜にまで拡大したそうです。その頃から狂犬病単独の法律ができて、徹底的な野犬の駆除や飼い犬たちへのワクチン接種が義務付けられました。日本は、7年間というスピードで狂犬病を淘汰したそうです。

しかし、再度、狂犬病の大混乱が起きてしまえば、おそらくまた徹底した「狂犬病ウイルスを保持した哺乳類を淘汰」が必須になるでしょう。

狂犬病ウイルスをもった哺乳類動物、特にイヌ科目の動物にはヒトもペットも近づけない。

すなわち、それまで外で飼育されていたペットたちは、極力“室内飼い”が危険を避ける方法の一つになってきます。

狂犬病ウイルスに感染し、様々な症状が発症してしまうと…、残念ながら完治させる特効薬がありません。

では、どうすればよいのでしょうか?

狂犬病が大流行してしまい感染し発症する前に、
狂犬病ワクチンの予防接種をすることが、命に関わる危険を回避できる唯一の方法です。

ワクチンの副作用は?

狂犬病ワクチンの安全性はかなり高いものですが、100%安全なものではありません。
やはり犬ちゃんの体調が万全なときに接種することが前提と言えます。

現在、日本では法律で、犬ちゃんに狂犬病ワクチンを接種することが定められています。
しかし、犬ちゃんの体調がすぐれない場合や、妊娠中、疾患を患っているなど、体調面で異常がある時は、獣医師によって犬ちゃんの体調をよく診察した上で判断してもらいましょう。

獣医師が「ワクチンを接種できない」と判断すると、その年の狂犬病ワクチン接種を免除できる仕組みになっています。
飼い主さんは愛犬の体調をよく観察しておいてくださいね。

なぜ犬ちゃんにだけ接種するのでしょうか?

狂犬病は、哺乳類全てに感染し、発症すると死に至るものですが、日本では犬ちゃんのみにワクチン接種が義務付けられています。

なぜなら、哺乳類の中でもイヌ科目の動物たちは、狂犬病ウイルスを維持できてしまい感染を広めてしまうから、だそうです。

アジア圏内では犬からの感染が一番多く、かつての日本の大流行も主に犬からの感染が拡大されていたそうです。
世界規模でみると、地域によってはどの哺乳類動物が被害を拡大させているかは多少異なっています。コウモリ、キツネ、オオカミ、ジャッカル、マングース、アライグマ、スカンクと、その地域に多く存在する野性動物による感染が多いそうです。これらの多くはイヌ科の哺乳類動物です。

人も狂犬病発生が多い地域にいく際には、事前にお医者さんでの狂犬病ワクチン接種を受けることができます。

最後に

今は日本に存在しない狂犬病ウイルスですが、一度症状がでてしまうと助からない恐ろしい病気です。ヒトへの危害に留まらず、全哺乳類動物たちの多くが犠牲にならないために、これからも事前に予防接種をうけて大惨事が起こるのを未然に防いでいきましょう。

第11回は「ノミ・マダニ予防」を予定しています。次回も読んでくださいね。

宮村夏美

動物看護士。12歳で子犬を保護し、その犬が天寿を全うするまで一緒に暮らす。その間、夢中で愛犬と遊び、無償で返ってくる愛情に心が癒され、助けられる。
「愛犬のために何かしてあげたい」という想いから、動物看護士の道を歩む。目指しているのは「動物たちがストレスなく過ごせる幸せな環境づくり」。
飼い主さんと獣医師の橋渡し役、ペットについての悩みを抱える飼い主さんの良き相談役になっている。日々の原動力は、ともに暮らした愛犬への強い想いだ。

うちだ動物病院
http://www.uchida-animal-hospital.com/index.html




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