Vol.71 忘れられないクライアントさん

Home > カルチャー > kirei ワーク > Vol.71 忘れられないクライアントさん
投稿日:2013/05/21

心の中からキレイになる! 
仕事の中の悩みを小さくして、キレイになるためのヒントをお届けします!

 
 
みなさん、こんにちは! キャリア・カウンセラーの錦戸かおりです。
若葉の緑もどんどん深くなり、初夏を感じられる季節になりましたね。あぁ、散歩に行きたい! なんて気持ちを抑えて、さあ、原稿を書きましょう(笑)!
 
 
キャリアに関わる相談をするようになって20年以上になりますが、そんな中で絶対に忘れられないクライアントさんが何人かいらっしゃいます。長いお付き合いをしているクライアントさんは当然忘れませんが、一期一会でも、私にとって初めて出会う価値観を持っていらしたりすると、お名前は覚えていなくても、お話の内容や雰囲気、そしてその場の空気は忘れられないものです。
 
今日は以前お会いしたクライアントさんのお話を書きたいと思います。
昨日、「がんを抱えながら働く 治療、職場の制度活用」という日経新聞の記事を読んでいて、久しぶりに彼女のことを思い出しました。
 
 

■ 闘病中のクライアントさん。

 
 
もう10年近く前のこと。彼女はキャリア・カウンセリングを受けにいらっしゃいました。確か40歳前後だったその女性はがんの闘病中でした。彼女が患っている癌の完治とされている年月を、もう少しで迎える、そんなタイミングでした。
 
彼女のがん発見は遅く、手遅れではないものの、かなりの確率で生存が難しいと告知されたそうです。彼女はあるIT関連企業に勤めていらっしゃいましたが、治療に専念しようと思い、仕事を辞めたそうです。
とりあえず最も大変な時期を過ぎ、治療費を稼ぐために、彼女はパートで仕事を始めました。パート先では病気のことは明かさず、それでも定期的に通院で仕事を休む彼女に、周りは特に理由を聞くでもなく、普通に接してくれるのがとてもありがたいとお話しされていました。
 
 

■ 生きるということ

 
 
完治のときを目前にし、彼女はふと足が止まってしまったそうです。自分はこれからどうやって生きていこう? このままパートでいいのか? と。
 
そのとき彼女が言った言葉が忘れられません。
「ドラマだったら、思いっきり人生を楽しんで亡くなりました。あるいは、つらい治療やいろんな葛藤がありつつ、大変な思いを乗り越えて生き残ることができました、というハッピーエンドになるのですよね。でも、現実は全然違うのですよ。生き残れたというハッピーは途中経過であって、そのあと生き続けなければならないんです。働かなければ、生き続けられないんです・・・・・・・・・。錦戸さん、生きるって、働くことなんですね。」
 
年老いた母や、すでに嫁いでいる妹には話せない。これ以上心配かけられないという想いから、この話は初めて彼女の心から外に出たそうです。話したあと、ふー、と息を吐いた彼女の表情は特に変わりませんでしたが、心の中は少しだけ、軽くなっていたかもしれません。
 
 

■ 制度がなくても、工夫次第

 
 
日本人の二人に一人はなるという癌。日経の記事にもある通り、がん患者の就労サポートはまだまだこれから。企業内でも、特にがん患者のための制度は整備されていないでしょう。でも、必要であれば、近い領域の制度、例えばメンタル不全のための制度や育児・介護制度などを活用して、治療との両立を図るという手段を会社に訴えるという方法もあるとのこと。どちらにしても、一人で考え込まないで、何か方法がないか声をあげてみるという行動が大事なのでしょう。
 
 
あれから10年近く経ちました。彼女は元気で幸せに暮らしているかな? 知る方法もないけれど、心から彼女の幸せを願うばかりです。
 
 
今回はこれでおしまい。
また、3週間後にお会いしましょう!
 
 
日経新聞 「癌を抱えながら働く  治療、職場の制度活用」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFE1402M_W3A510C1WZ8000/
※登録すると、無料でも読むことができます。
 
 
 
6月の講座のお知らせ
http://blog.livedoor.jp/usaginojun/
 
kireiワーク 旅行が大好きなやんちゃ坊主、がんのすけくん! 
Photo By 「 YH 」
 
 
 
 

錦戸かおり

個人のキャリア開発支援を行う「がんばれ工房」主宰。キャリア・カウンセラー、産業カウンセラー。女性と仕事の未来館にて、キャリア部門の特別相談員。毎日コミュニケーションの転職サイト「マイナビ転職」にてコメントの執筆なども担当している。一人一人のクライアントと長いお付き合いをすることで、キャリアのホームドクターとして活動している。
2009年10月『働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント』を発売(河出書房)
がんばれ工房 http://gambarekoubou.com/




コメントをどうぞ

投稿されたコメントはサイト運営者の承認後に公開されます。
個人情報を含む内容(個人名等)及び個人的な相談等は公開を控えさせて頂きます。

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。
内容を入力して、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。(htmlタグは使用できません)

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

サイト内検索

バックナンバー