投稿日:2019/03/11

ブラジル発「駐妻」に転職しました!
〜 ワーキングウーマン の ポジティブ ラテンライフ 〜

 
「最近、なんか気もそぞろで落ち着かないの」と、いつも元気ハツラツな日本語教師N子さんが、珍しく弱気な発言をしました。N子さんはカンピーナスでは珍しく、ボランティア中心に、ブラジル人向けに英語で日本語を教える個人レッスンや、現地の幼稚園で教えたり、カンピーナス大学で教授のアシスタントとして本の監修をしたりと、毎日活動している駐妻です。そんな訳ですから、駐妻の集まりや歓送迎会も欠席しがちで「私、アウトローだから」と言いつつ、そんな自分が嫌ではない様子です。

個人的に久しぶりに会おう、という事になったものの、彼女のスケジュールに合わせたら、朝ご飯の時間しか空いておらず、近くのドイツ風パン屋さんのカフェでモーニングする事になりました。いつも「私は、ただここにいるだけの駐妻とは違う。小さなコミュニティの中だけでは生きていけないの。ブラジル人や他の国の人達とも関わりたい!」と言ってるバイリンガルN子さんが、落ち着かないって~~と少し心配になり、ついつい「私で良かったら、お話聞くよ。」とカウンセラー魂に火がついて言ってしまいました。

が、「気持ちは有難いけど、利害関係があり過ぎて言えないわ!」と間髪入れずにお断りされました。確かに、私達の夫は部署こそ違え同じ会社、住んでるマンションも2階違いで、いわば社宅状態です。その上、N子さんは私が以前に「他の地域ではなく、帯同率の低いブラジルの地まで来た妻達のそれぞれの生き方や考え方に、キャリアコンサルタントとしてとても興味があるわ」と言った事を覚えていて「話聴くって、ネタ集めなんでしょ?」と警戒しています。お節介は大失敗!

自分が落ち込んでいた時は分からなかったけれど、少し楽になった今、近くに住む駐妻の人達を見回して見ると、、、そうなんです、本音で会話している人はあまりいないかも、と気づきました。また、人の話は聞き出しても自分のことは言わない人、話題は当たり障りのない事だけ選んで話してる人などがいたりする一方で、赴任してから何ヶ月も引きこもっている駐妻もいて、みんな少し息苦しそうです。

お子さんがいる方の方が知り合うチャンスは多いでしょうけれど、それもまた場合によってはストレスのタネにならないとも限らない。みんなそれぞれ近くの駐妻間では自己防衛しているように見えます。この広い地球の中で(ホント、何しろ地球の裏側だし)同じタイミングでこの土地で出会った事には大きな意味を持ちますが、だからと言って知り合ったらみんな友達になれるわけではないので、一体どんな付き合い方が正解なんだろう、と疑問に思いました。

私のいるカンピーナスの駐妻は約25名、全員の顔と名前は一致するし、言動については間違いなく知れ渡る、なんとも言えないサイズ感です。幸い、悪意のある人は居ないので、世間で言われる壮絶な駐妻ヒエラルキーも無いです。でも、一匹狼N子さんが、自分はみんなとは違う、と言いながら、日本人駐妻の群れから少し離れたところで、English speaker  の人達とたわむれるのは、近くの駐妻と距離を置く一つのスタンスの取りなのかもしれませんね。とはいえ、最近少し寂しくなって来たのか「なんか集まりがあったら一応声かけてね。」と言ってます。私は曖昧にウーンとだけ答えたけれど、「声かけても、仕事が忙しいと言って来ないよね、ってみんな思ってるよ」とは言えませんでした。

ただ、周りに人が居ても、それだけでは人は満たされません。いや、むしろたくさん人が居て、その誰とも気持ちを分かち合えなければ、それは孤独と同じ事なのでしょう。だから日本人が多く駐在する国でも、精神的な問題を抱える人も少なくないわけです。妻たちが仕事を中断し、海外へ帯同し、自分の存在意義を見失いそうになる時、何かやる事が有れば暫くは気も紛れるけど、やっぱり最後は「人」、心分かち合える「人」が拠り所になるのではないかな、と思いました。

私も、少しの間もがいて、自分の価値を見失いそうになった時、いくつかのボランティアにめぐり合いました。一つは、世界中にいる日本人のためのオンラインヘルプデスクの相談員、もう一つは駐妻の中でキャリアに関心のある人達のコミュニティーでキャリアカウンセラー、そしてこのコラムを月に2回書かせて頂いています。幸い、そのどれもが今まで自分が専門として来たことをある程度活かせるものであったり、好きなこと(下手の横好きで、文を書いてます)であったりして、有償無償にかかわらずやり甲斐を感じ、しっくり来ています。

でも、あんなにもざわついていた心の中が、落ち着いて、むしろ心地よくなるのは何故だろう?と、考えた時、単にやる事が出来たから、というのではなく、そこに同じ志を持った、本音を話せる仲間がいるからなのではないかと思いました。やる事があるという「事柄」だけではなく、同じ目的意識のある人と、駆け引きなしの会話が出来る事が、海外という特殊環境にいるからこそ、とても貴重なんだと感じています。

ヘルプデスクの仲間とは定期的なミーティングをしたり、テーマを決めてトークイベントしたり、キャリアカウンセリングもフィードバックなどを通して個々のタスクについて話し合っています。コラムを読んでくださった方々からも、共感出来るとコメントを頂いたり、日本の友人からも感想を聞くと、何かが伝わった気がして本音トーク出来た気がします。そのチャンスをいただいていることに、この場を借りてお礼申し上げます。

そう!少なくとも、私は、何か同じ目標に向かって進んでいける「仲間」が必要なんだなぁー、と実感しています。もしかしたら、これもは私がずっと組織で働いて来たサガなのかもしれませんが、でも誰にでも当てはまる気もします。もし何か同じ方向性に向かう人にその心の内を打ち明けられたら、N子さんの気もそぞろにはならないかもしれません。お仕事柄、個人作業も多く、相手にする生徒さんや先生も外国人なので、いくら英語が堪能なN子さんでも心の底を吐き出せてないのでは?ブラジルで暮らし始めて一年半、しばらくの間はやる事が出来て埋まった心の隙間も、ふと立ち止まるともうカバーしきれないのかも。

海外赴任で持て余した時間を埋めるためだけに、闇雲に何かしたい!仕事をしたい!って言うのではなく、(私もかつて香港時代はこんなモチベーションで働き始めたけど)同じ目的意識を持てる仲間を見つけることが、意義ある時間を過ごせるコツかもしれません。だから、別に仕事することが全てではなく、またそれを推奨しているわけでもありません。

例えば、ご縁があって知り合った駐妻の中から、心の内を吐き出せる友達を何かの活動を通じで一人見つけることだって、ひとつの「キャリア活動」になるのではないかと、考える今日この頃です。キャリアは、事柄ではなく内面を指すのですから。と、なると駐妻生活は、もしかしたら私達に与えられた「人間力向上」の修業の時間なのかもしれないと、しみじみ感じ入ります。

●ステキなインテリアのドイツの山小屋風のカフェ。朝から結構混んでいます。
●大型スーパーマーケットのアプリをダウンロード。レジで「Cliente mais?」と訊かれ最初はこれが聞き取れず、キョトン?)、はい、と答えると納税番号(マイナンバー)を入力するように言われて、商品が安くなります!ワインなんて4割引きのことも。
●ブラジル人は、みんな大好きブリガデイロ。コンデンスミルクとお砂糖、バター、チョコパウダー、甘くないわけがない。子供も作れるお菓子です。

●N子さんとモーニング。飲み物やパンの他に、ハムやチーズ、フルーツも付いてなかなかのボリュームです。
 

セニョーラ・プリマベーラ

キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー。

夫の海外転勤をきっかけに、20数年間勤めた金融関係の企業を辞め、フリーランスになる。その後、地球の裏側ブラジルで人生初の専業主婦となる。知り合いもいなく、仕事をしない生活、収入のない自分の帰国後のキャリアも心配だけど〜〜今いる環境の中で、いかに心身ともにキレイに生きていくかを模索中。

女性も職業を持つのが当たり前の現代では、夫の転勤とは言え、様々な問題が立ちはだかります。私と同じように自分のキャリアとの狭間で悩んでいる人、これからその可能性のある人、、たくさんいらっしゃるはず。

キャリア=仕事だけでなく、ライフキャリア=人生そのものについて、一緒に考えてみませんか?

筆者:世界遺産イグアスの滝をバックに
滝のように人生は?レインコートは、イグアス国立公園のマスコット動物、アナグマ現地のオリジナル




この記事へ 6 件のコメント

Nathy

2019年3月12日 at 7:10 am

女性には仲間が大事ですね。自分と同じ考え方の人といると自分の居場所があると思います。

いわちゃん

2019年3月12日 at 8:49 am

『キャリアは、事柄ではなく内面を指すのですから。』との言葉に共感大です!
人はとかく、表面的な価値や評価に目を奪われがちだけど、その実、ほんとは内面の充実こそを目指しているのでは…と思うことが多々あります。
だからこその人間力の強化、大切ですね
このことを地球の裏側から教えてくれるセニョーラ・プリマベーラさん、ありがとうございます。
同じ気持ちを抱く仲間として、これからもよろしくお願いします!

コアラ

2019年3月12日 at 8:53 am

物質的に恵まれてる日本人や先進国の人にとって、今、問題となるのは心ですよね。道徳教育とは違う、気持ちの持って行き方とか、楽しみの見つけ方とか、孤独感との付き合い方とかそう行ったものが必要とされている気がします。

ROMANA

2019年3月12日 at 9:24 am

どこに居ても、最後は人との繋がりが一番大切なんだなーと読んでいて、何度もウンウンとうなづいてしまいました。プロジェクトでも、メンバーが同じ方向向いてる時って、忙しくても楽しいですものね!
プリマベーラさん、地球の裏側でも、ステキな人間関係作って行ってください!

ぷー

2019年3月17日 at 12:40 pm

心をわって話せる仲間って大切ですよねーしかも異国の地ならなおさら。
狭いコミュニティの中で生活するって大変!
でも、そのなかでも駐在生活楽しんで~

Mia Friday

2019年3月18日 at 10:57 am

『「テーマ」を決めて人と会う』
このように決めると楽になりますよね。
逆に「テーマ」がない人とは極力会わないようにするというのも一つの方法なのかもしれません。

コメントをどうぞ

投稿されたコメントはサイト運営者の承認後に公開されます。
個人情報を含む内容(個人名等)及び個人的な相談等は公開を控えさせて頂きます。

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。
内容を入力して、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。(htmlタグは使用できません)

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください