投稿日:2019/04/08

ブラジル発「駐妻」に転職しました!
〜 ワーキングウーマン の ポジティブ ラテンライフ 〜

 
ご存知の通り、ブラジルの治安の悪さは世界一。記憶に新しいところでは、2016年のリオ五輪会場で、観光用バスの窓を開けたままスマホを操作していた人が、一瞬にして奪われるという衝撃映像を何度も見ました。そんなイメージなので「夫がブラジルへ転勤になりまして~」と話すと、殆どの方が「治安は?危ないから単身赴任してもらったら?」なんて感じ、悪評極まりないです。

でも、前回街の様子をご紹介したように、住んでみて分かるのは、ブラジルの全ての場所が危険で、いつでも犯罪が起きている、と言うわけではないのです。ただ、国民の危険認識や感度は、日本人とは違いがあるように思いました。

赴任前配偶者オリエンテーションでは、コンサルタント会社の方が、海外における邦人がらみの事件や事故を分析した上で、有効な安全対策を指導して下さいました。でも、今思うとあの時は「まぁ、一般的知識として知っておこう」というくらいの気持ちだったように思います。夫にも目立つと狙われると釘を刺されていたので、あえて少し着古した、日本ではもう着ない服をたくさん持ってきました。渡伯前の私の危機管理対策は、所詮こんな感じでした。

それでも到着した当初は、穏やかなこの街のどかに危険が潜んでいるに違いない、と少しビクビクしていました。とはいえ、外出しないわけにはいかないので、今日はこの通りまで、明日はもう少し先までと距離を延ばして、街の様子を探りながら、ひたひたと歩き回りました。 ある日、自宅のある高台から少し下ってみようと決めて歩き出しました。大きな公園を右手に見ながら、坂道を下りきった辺りから、ん?街の雰囲気が変わって来ました。

ショッピングモールがあったので入ってみると、何となく薄暗くて、やってるの?という感じ。慌てて出て、さらに進んで行くと、問屋街のような街並み、また少し行くと、突然視界が開けて大通りの正面に大きな教会があり「綺麗!」と思ったのもつかの間、その周辺の光景にハッとしました。複数の路上生活者が、横になったままの人もいれば、物乞いをしている人もいます。近くには屋台が並び、歩く人達の身なりも、私が普段見ているカンブイの人達とは明らかに違います。平日なのに、大晦日のアメ横か、浅草みたいにごった返しています。

「あれ?もしかして、来てはいけない所?」感覚的にそう思いました。そうか、ここがセントロ、街の中心部。明らかに下町の喧騒や慌ただしさを肌で感じます。人の集まるところに犯罪は発生しやすく、厳粛な教会も例に漏れず、犯罪は無くとも、外国人が来るところじゃない!と直感。すぐにでも引き返したかったけれど、自然に振る舞うために、近くにある衣料品店に入り、安いシャツを買って何事もない感じで今来た道を引き返しました。

周辺の店の袋を持ってれば、地元の日系人っぽく見えるかな、とクルクルと思いが巡ります。早足で歩いても、カンブイに着くまでがどれだけ長く感じられたことか!なるほど、犯罪は起こりやすい場所や時間帯があるんだなと、この日は少しビビりました。 しばらくすると、夫の会社から「安全講習に出席して下さい」と通知が来ました。赴任1年未満の妻達が呼び出され、机上と実技が有ると聞いていたのですが、実技って何だろう?と思いつつ、まずは、会議室でセキュリティ会社の方から話を聞きます。日系人通訳も付いて熱のこもったレクチャーです。

まず、言われたのは「被害者を選ぶのは犯人です。自分は安全と思い込んでいる人が狙いやすい」という事でした。そうなんです、犯罪のイニシアチブは犯人にあるのです。犯人はよく観察していて、狙いやすい人を分かっているのです。だから私達はいつでも自分は気を配ってるんだという素ぶりが必要です。建物から出るときは出口で立ち止まって、右、正面、左、と視線を向けて警戒しているポーズが必要です。日頃の日本人はそういう警戒心に欠けていますよね。次に場面に応じての細かいレクチャーがありました。そして用心していても事件に巻き込まれてしまった時には、何が起きているのかを冷静に判断し、ゆっくりと動き、

1) 支配権は犯罪者に渡す
2) 抵抗したり反撃したり逃げたりしない
3) 犯人の顔を絶対見ない、がポイント!

ATMに賊が押し入ってくる防犯カメラの画像も見ました。男の子を連れたお母さんが、犯人の侵入に気づくや否や、子供を抱き抱えながら床にうつ伏せになり、自分のバッグを手放しました。この時お母さんは「大丈夫、これはゲームだからね、静かにね。鬼さんが気に入ったバッグを見つけたら終わるから、帰りにアイスクリーム食べましょうね!」と言って子供を落ち着かせていたと言うのです。欲しいものを渡せば目的を達して犯人は立ち去る事を知っているので、あえて命を危険にさらす事はしないのです。

と、いう様な画像をさんざん見せられ後、いよいよ実技が始まりました。外へ出て、グループに分かれ、実際に車に乗ってるところで襲われた場合、ショッピングモールの駐車場に怪しい人がいた場合、家のガレージの入口に変な人達がたむろしていた場合、など色んなシチュエーションで行います、と説明がありました。そして「今日は犯人役が3人来ています。見るからに犯人っぽい人、普通の人、そして綺麗な女性です。見た目では良い人か悪い人か分からない、という事を知ってください」と、言って、犯人役の人達を紹介しました。 3人ともこのセキュリティー会社の社員ですが、とにかく迫真の演技。ロールプレイと分かっていても、襲われた時は本当に怖かった。

車から降ろされて鞄を渡す時も手抜きはしません。これが、実技研修!この様子を見ていた駐妻のひとりは「私、無理です!」と言って実技体験しませんでした。 この体験は、言葉では伝わらない事を私達に伝える、と言う意味でインパクト大でしたが、合わせてブラジルでは、もし被害者になってしまった場合に、いかに適切な対応ができるかという事が運命の分かれ目だと教えてくれたのです。勿論、被害に遭わないのが一番ですが、もしもの時の「適切な対応」は、日本の常識や感覚とはかけ離れているのです。

あー、日本で受けた危機管理講習の内容がやっと理解出来ました。そして、いつも緊張感を持って生活するというのは、どれだけストレスになるのかも改めて身に染みました。セントロで味わった異様な感じとか、犯罪に対する意識とか、日本にいたら感じなかったことばかりです。と、同時に国民の4割超が平均年収に満たないこの国で、人のものを奪って生きている人がなんと多いことか!やるせない気持ちです。スマホを握ったまま電車で居眠りしている日本人を見たら、ブラジルの犯人はどんな行動を起こすのでしょうか?

とは言え、怯えてせっかくの海外生活を楽しめないのもつまらないことです。感覚を研ぎ澄まし最大限の注意を払った上で、個人的にはいい人ばかり、熱いハートのブラジル人と共にブラジルをいっぱい楽しまなくちゃ!と、懲りないプリマベーラなのでした。


●安全講習をガッツリ行うのは、ここはやっぱり日本とは違う環境だからなんです。
●アパートには、必ず入口にポルテイロ(門番)が24時間体制で勤務しています。

●安易に立ち入ってはいけなかったセントロ地区。美しいカテドラルの周りには路上生活者が、、。
●緑に囲まれた街で一番人気のレストラン。店を出たところで身につけていた高級時計を取られる事件がありましたが、被害者が抵抗せず時計を犯人に渡す姿が防犯カメラに映っていました。

セニョーラ・プリマベーラ

キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー。

夫の海外転勤をきっかけに、20数年間勤めた金融関係の企業を辞め、フリーランスになる。その後、地球の裏側ブラジルで人生初の専業主婦となる。知り合いもいなく、仕事をしない生活、収入のない自分の帰国後のキャリアも心配だけど〜〜今いる環境の中で、いかに心身ともにキレイに生きていくかを模索中。

女性も職業を持つのが当たり前の現代では、夫の転勤とは言え、様々な問題が立ちはだかります。私と同じように自分のキャリアとの狭間で悩んでいる人、これからその可能性のある人、、たくさんいらっしゃるはず。

キャリア=仕事だけでなく、ライフキャリア=人生そのものについて、一緒に考えてみませんか?

筆者:世界遺産イグアスの滝をバックに
滝のように人生は?レインコートは、イグアス国立公園のマスコット動物、アナグマ現地のオリジナル




この記事へ 5 件のコメント

ola

2019年4月10日 at 5:17 pm

リアル過ぎる!でもサバイバルにはとても大切。平和ボケしている日本人としては ガツンとやられた感じです。生きていてナンボですものね。

ハワイ好き

2019年4月14日 at 7:39 pm

安いシャツを買って、地元の日系人に見えるかな・・さぞどきどきしたでしょうね。よく思いつきましたね。
想像しただけで・・・支払いをする手が震えてしまいそうです。
危険が日常の中にあるのですね。
日本が平和で安全だと感じるリアルなレポートです。

SuuuU

2019年4月15日 at 7:23 am

人を作るのは環境の影響が大きいことをあらためて考えさせられます。

プリマベーラさんの健やかな毎日をお祈りしてあます〜♡

Nathy

2019年4月22日 at 9:58 am

格差社会が激しい国では、外出時いつも緊張感があります。でも”知らない事ほど怖いものがない”!
その国での生活知識を知る事がとっても大事ですね。安全にプリマベーラを楽しんで下さい。

Gurako

2019年4月25日 at 9:53 am

自転車のかごの中に荷物入れっぱなしで半日しても取られない、平和で安全な日本に暮らせるって幸せなことなんですね。

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