投稿日:2019/09/27

ブラジル発「駐妻」に転職しました!
〜 ワーキングウーマン の ポジティブ ラテンライフ 〜

 
ある日、いつものようにポルトガル語のレッスンへ行くと、ジョゼ先生がタウン誌「Veja São Paulo 」を手渡しながらこう言いました。

「君ををRelações Públicas に任命しよう!」

Relação Públicasとは広報。つまり、カンピーナスのPR大使になりなさい、と言うのです。

渡された雑誌を見ると、ちょうど日本特集の号で、サンパウロ近辺で味わえる物、博物館、恒例の「Festival do Japão 日本祭」をはじめとするイベントなどが、何ページにもわたって掲載されていました。私にPR大使になってこれらの日系の情報のみならず、地域の季節の催し物や、地元の人だけが知るレストランなどもPRして、他の日本人にもここに住んでいる事を楽しんで欲しいというのです。

むっむっ、見抜かれてる!私は「言いたがり」なので、自分が良かったと思うと、周りの人に話さずにはいられない!以前クッション型のマッサージ機の良さを、会う人ごとに話していたら、私の周りで1週間に8台売れるという、金字塔を打ち立てたこともあります。ならば先生の期待、受けて立ちましょう!

そもそも、先生が私に目をつけたのは、少し前にこの雑誌で、週末だけ朝ごはんが食べられる「農園レストラン」を見つけ、行ったのが発端です。ブラジルの典型的朝ごはんは、ポンデケージョやパンにコーヒー、卵やソーセージ、フルーツ、ジュースの他に、素朴なケーキ、プリン、ブリガデーロ(甘い一口菓子)なども食べます。しかも、週末は午前中いっぱい長い時間をかけて家族や友人たちとおしゃべりしながら楽しむのが最もブラジル人らしい休日の過ごし方なのだそうです。

それが出来る農園レストランが、家から30キロほどのそう遠くない所にあります。雑誌の案内を読み進めていくと、予約が必要でした。「英語禁止」と先生に釘を刺されたのもあり、指定のメールアドレスへポルトガル語で連絡してみました。おぉ、予約取れた!何々?事前に振り込み?これは夫に頼んで会社の中の銀行からやってもらおう!ってなわけで、何とか当日を迎え、農園レストランへ向かいました。

カーナビに従い走って行くと、残り10キロ辺りからものすごい山道。これ、合ってる?起伏の激しい道なき道を行くと、あちらから馬に乗った人がやって来る!迷子になった上に、タイムスリップしたかと不安になって夫を見ると、パニックが顔に出ています。ちょっと行き過ぎて、気づいて戻ると木製の大きな門に、小さくレストランの名前がありました。車から降りて手で門の鎖を外し、車が入ったらまた門を閉じる〜という作業を3回繰り返し、やっとレストランへたどり着きました。

広い!その辺に車を止めて出ていくと、古民家を改造したらしき建物の中のから、オーナーのロジェリオが大きな体を揺らしつつ、私の名前を呼びながら近づいてきました。メールでやり取りしていたので、初対面にもかかわらずフレンドリー、ブラジル式にハグして挨拶しました。何だか、田舎の叔父さんの家へ行った様な懐かしい気分です。「君は初めての日本人だよ」と言われ、観光地ではないことを再認識しました。すでに何組かの家族が朝ごはんを食べています。私達とほぼ同時に到着したグループは大人数で、お誕生日会を始めました。

ロジェリオが「オムレツを作ってあげよう。ソーセージも要るかい?」と聞いてくれたり、奥さんが「出来立てのポンデケージョはいかが?」と、運んできてくれて、リラックスムードです。隣に座った知らないご夫妻とも会話を交わし、食後は、飼い犬君たちと一緒に散歩して岩山に登ったり。高台から私達の住んでる街も見えます。ロジェリオは、以前はIT系の仕事をしていて、出張で横浜へ行ったことがあるそうですが、今は週末にこのレストランで朝食を提供したり、在宅でちょっと仕事したり、のんびりやってる様でした。なんか、いいなぁー。ゆったりと流れる時間の中で、ブラジル人のおおらかさがどこから来るのかが分かった気がしました。

と、言う話を、是非とも他の日本人にも話して、典型的ブラジルの休日の過ごし方を体験して欲しいと言うのが、ジョゼ先生の考えでした。なので、農園レストランのことは勿論、同じく雑誌で見つけた郊外のアフタヌーンティーや、日本祭、7〜9月が見頃のお花見(沖縄桜など)スポットなどをPRして回りました。

そして、極め付けは6月最後の土曜日に行われたFesta Juninas(6月のお祭)です。キリスト教三聖人のお祭の月で、カソリック教徒が多いブラジルではとても大切な行事です。カンピーナスにあるIgreja Divino Salvador という教会でも、伝統的なお祭をやるから、是非とも行ってみて、とジョゼ先生に勧められました。普段は信者でない外国人には敷居が高いのですが、その日はとにかくオープンで5レアル(125円)の入場料を払って教会の中に入ると、そこには縁日のような光景が広がっていました。

予め教えて貰った伝統的な食べ物や飲み物を買うために、クーポン券を購入しました。私はカンジカという白いお汁粉のようなシナモンの香りが広がる温かいスイーツを買いました。夫はカサッシャ(強いお酒)を温めたケンタウンという飲み物を買いました。6月のブラジルは一応冬なので、体が温まる物が主流です。友達夫妻も誘って行ったので、ホットワイン、ホットドッグやパステウなどをそれぞれに楽しみました。ふと見回すと、障害を持った人やろうあ者のグループなどもいて、みんな思い思いの食べ物を手に、ニコニコしています。

こんなにも幸せそうな風景にじわっと込み上げるものがありました。ブラジルに来て、こんな気持ちになったのは初めてです。信じるものが有り、愛する人達がいる事の幸せ、伝統的なお祭を通して、ブラジル人の心の中を少しだけ垣間見た気がします。立ったままカンジカを頬張る私に「それはどこで売ってた?」と、きいてくるおば様。私にきく?でも、場に馴染んでいたのかと少し嬉しくなりました。

ジョゼ先生は、どこかへ行くたびに作文の宿題を出します。この時も「お祭に参加して、文化や習慣についての感想」を書くように言われ、翌週のレッスンの時に提出すると「教会の広報ページにこの文章を載せても良いかな?ブラジルへ来て1年経つ日本人から見たFesta Juninasのエッセイとして」と言われました。えー?!ちょっと恥ずかしいけど、つたなくも一生懸命に書いた文が、地元の人たちの目にも触れるなんて素敵!

それからしばらくして、教会のfacebookに私の作文は掲載されました。ジョゼ先生が書いたと思われる紹介文には「ブラジルに住みポルトガル語を学び始めて一年、言葉だけでなくブラジル人の生活や文化習慣にも興味をもつ日本人セニョーラ」と書かれていました。私の語学力は、まだ十分とは言えませんが、この国の人の暮らし方や考え方に興味を抱き、少しでも触れたい!という気持ちは、私とブラジルの距離を縮めてくれたように思います。多少乗せられてる感もありますが、今後もカンピーナスPR大使として、誇りを持って色んなことを知りたがっていこう!と、心に誓いました。


●甘いお菓子も込みの「農園レストラン」で食べたブラジル式朝ごはん。見た目もカラフル!
●地元の人々で賑わう教会のお祭りFesta Juninas地元の人々で賑わう教会のお祭りFesta Juninas

●日本祭は県人会主催の屋台が出ます。サンパウロは、何と47都道府県全ての県人会が有ります。
●ブラジルのお花見は、沖縄桜はやヒマラヤ桜などです。

セニョーラ・プリマベーラ

キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー。

夫の海外転勤をきっかけに、20数年間勤めた金融関係の企業を辞め、フリーランスになる。その後、地球の裏側ブラジルで人生初の専業主婦となる。知り合いもいなく、仕事をしない生活、収入のない自分の帰国後のキャリアも心配だけど〜〜今いる環境の中で、いかに心身ともにキレイに生きていくかを模索中。

女性も職業を持つのが当たり前の現代では、夫の転勤とは言え、様々な問題が立ちはだかります。私と同じように自分のキャリアとの狭間で悩んでいる人、これからその可能性のある人、、たくさんいらっしゃるはず。

キャリア=仕事だけでなく、ライフキャリア=人生そのものについて、一緒に考えてみませんか?

筆者:世界遺産イグアスの滝をバックに
滝のように人生は?レインコートは、イグアス国立公園のマスコット動物、アナグマ現地のオリジナル




この記事へ 5 件のコメント

Nathy

2019年9月28日 at 4:12 pm

カンピナスPR大使だけではなく
ブラジルPR大使になって下さい

Hawaii好き

2019年9月28日 at 7:58 pm

家から30キロほどのそう遠くない所にあります・・・ って結構な距離ですよ。現地の距離感になってますね。
あちらから馬に乗った人がやって来る!・・・えええ?! それはびっくりしますね。車にぶつからないのかとか・・・大草原の小さな家が最近放送されているので、あんな感じ・・じゃないでしょうが。

コアラ

2019年9月29日 at 2:22 pm

カンピーナスのPR大使という役割が加わった事で、プリマベーラさんの行動の幅、視点が更に広がったように感じます。三聖人のお祭りの温かさ、伝わってきました。

chika

2019年10月1日 at 1:05 am

どこにいても、好奇心旺盛で、ジャンルを問わず魅力的なものを見つけ、それを広める表現力を持つプリマベーラさん。このお役目は、当然の展開のように思います。ますます行動力が広がりそうで、楽しみです。ブラジルのお祭り、いいですね。お祭りってこういうものだよね、と原点を思い出させてくれるような幸せな光景。ほのぼのしました。

chika

2019年10月1日 at 7:11 am

どこにいても、好奇心旺盛で、魅力的なものを見つけ、それを表現する力を持ったプリマベーラさん。このお役目は当然の展開のように思います。ますます行動力が広がりそうで、楽しみです。ブラジルのお祭り、いいですね。お祭りの原点を思い出させてくれるような幸せな光景にほのぼのしました。

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