投稿日:2011/09/30


いつの時代も、キレイなお花は大人気!

“キレイ”が大好きな「KIREI生活研究所」読者の皆さまは、きっと美しいお花も愛していることでしょう。

お花を飾ることはもちろん、美しい花束を贈ったり、贈られたり…。嬉しいですよね。

前回ご紹介した19世紀末の“キレイな名刺・コーリングカード”の上に貼られている“クロモス”にも、美しいお花のモチーフが多用されています。
やっぱり、どの時代の人も「キレイなお花を贈ったり、贈られたり」したいのよね。

でも当時、そのお花のモチーフに厳しいオキテがあったのです!


花束モチーフのコーリングカード。昔も今も、花束を贈り、贈られる嬉しさは変わらないんですね。

花言葉を知っているほどイケメンだ!

19世紀、貴族の間でコーリングカードのやり取りが盛んになるにつれて、コーリングカードのマナーが細かく決められ、うるさく説かれるようになりました。

つまり、貴族だけで通用する文化にしちゃったワケ。意地悪ですよね~。

それにともなって、カードやクロモスに描かれている絵柄自体が“相手へのメッセージ”を意味するようになりました。

ですから、それぞれのお花ごとに相手への“メッセージ”が決められていたのです。
しかも厳しい貴族マナーの決めごとですから、お花の意味を取り違えるなんてとんでもない! 失敗すると笑い者になっちゃう!

この頃、カード絵柄の花の意味(メッセージ)を解読するための“花言葉事典”が誕生し、貴族は男性も女性も、この事典を手にコーリングカードのやり取りをしていたっていうからオドロキです。

「花言葉の知識が豊富な」貴族の男性は、インテリでカッコよかった…らしい(笑)。


ダントツに多いのがバラの花モチーフ! 鳩と花のモチーフも多いのです

花言葉はフランス生まれで、今より狭い意味

今、私たちがイメージする「花言葉」は、一つの花に対していくつもの意味があるなど、あまり決めごとはないように感じます。
でも、コーリングカード貴族文化の最盛期には、花言葉はかなり限定的でした。

「花言葉」は18世紀のフランスで誕生。
フランスのラトール(Latour)らによって確立され、イギリスへと波及していきました(ちなみにコーリングカードも誕生はフランス。フランスからイギリスへと舞台を移していきました。この話はまたの機会に)。

貴族文化とドッキングした花言葉!

ラトール(Latour)の花言葉によると、

バラ=美
スミレ=けんそん
忘れな草=私を思い出して。私を忘れないで
ユリ=威厳
オリーブ=平和
ポピー=なぐさめ

…となっています。

生まれたばかりの“花言葉”が、お高い貴族文化とくっついて、より細分化された“花が意味するメッセージ”を生み出していったようです。

現代でも、愛を語るにふさわしい花や贈るのを控える花などありますが、花言葉の事典と首っ引きでカード一枚を作って贈る貴族の姿って、今となっては笑っちゃうところがありますよね。
まぁ、ムダとも思える時間を費やして、より優美な贈り物を考える…ところが“貴族文化”なのでしょう。

自分の名刺に花や鳩のイラストをプリントして、ヴィクトリア朝の貴族気分を味わうのも楽しいかもしれませんね、くふふ。



バラ以外にもスミレやスズラン、忘れな草など、たくさんの花モチーフが使われ、
それぞれの花に“メッセージ(意味)”がこめられていました。


次回は「花が意味するメッセージ」をおしえちゃいます!

〈参考文献〉
THE HEAST CORPORATION『Victoria Business and Calling Card Design』1992
Beverly Seaton『THE LANGUAGE OF FLOWERS a history』1995
春山行夫『エチケットの文化史』平凡社、1988年

小野寺ふく実(おのでら・ふくみ)
名刺研究家、広告ディレクター・コピーライター、
ある日突然「名刺の歴史」に興味を抱き、調べ始める。生まれ持ったマニアックさ全開で国内外の名刺史料蒐集を行い、独自に研究。「名刺のことならこの人に聞け!」と言われたい。




この記事へ 6 件のコメント

うろこ雲

2011年10月25日 at 3:04 am

コーリングカードのやりとりを楽しむ貴族たちって、
日本の平安時代、和歌で恋愛のかけひきを楽しんだ貴族たちと似ている気が、、、、。
しかもこの時代、日本では、相手の姿かたちは知らずに、ただひたすら和歌の才能のみで
好きになったり、ふったりしていたと聞きますが、
おフランスや、ザ・英国の貴族たちは、どうだったんでしょう。
うーーむ、想像すると、楽しいですね。

オスカル

2012年2月21日 at 8:20 pm

こういう絵柄を昔、雑貨屋さんでよく見てシールで買っていたことを
思い出しましたが、こんな深い世界があったとは。。
恥ずかしながら、初めて知りました。
かなりディープな世界ですが、面白いでしょうね。
このようなカードはどこで入手されるんですか?
フランスやイギリスまで行かれるんですか?
日本でも扱っている店や業者様とかいるのですか?
私には遠い世界ですが、こういうことに興味を持たれ、収集されている
山浦さんにとても興味を持ちました。これからも楽しみにしています。

haya

2012年2月22日 at 3:25 pm

美しい!
やっと顔をだしてきましたね、美しい顔を。
名刺の研究、進捗いかがですか。
とっても楽しみにしてますからね・・・・・。
haya

山浦ふくみ

2012年3月2日 at 10:55 am

うろこ雲さま
コメントありがとうございました。
お返事遅くなり、すみませんでした。
コーリングカードと平安時代の貴族文化は似ているところが多いと、
私も感じているところです。
やっぱ上流の狭い世界って、国は違えど同じような文化になっちゃうんですかね?(笑)
ホント、想像すると楽しいですよね。
ぜひ、またコラム読んでください。
よろしくお願いいたします。

山浦ふくみ

2012年3月2日 at 11:05 am

オスカルさま
コメントありがとうございました。
こういう優美な絵柄って、雑貨屋さんとかに昔からありますよね~。
ヴィクトリア朝のコーリングカードについては、日本ではあまり知られていないようで、
まとまった文献がないため、私も少しずつ様々な資料を見ながら調べてきた…って感じです。
欧米の骨董を扱うお店の隅っこにあったりしますね(笑)。
このコラムにご興味を持っていただけること、たいへん嬉しいです。
オスカルさんのコメントを励みに、今後も調査を続けます(笑)。

山浦ふくみ

2012年3月2日 at 11:11 am

hayaさま
コメントありがとうございました。
国内外の文献をひもとく度に、新たな発見があります。
今後はさらに、様々な場でご紹介できれば…と思っています。
楽しみにしていてください。
hayaさんのコメントに大変励まされました。
Thanks.

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